もう年だから……なんてあきらめる必要なし!若い脳にはない「中年脳」だけにある能力

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中年は人生で最も満たされ、そしてまた最も効率よく脳を使いこなすことができる、人生でも特別な時期である

これは『年をとるほど賢くなる「脳」の習慣』(バーバラ・ストローチ/日本実業出版社)の冒頭の一節。

最近、人の名前やものの名前が覚えられなくなってきた。昨日の夕ご飯は何だったかな?そのような経験をしたことがある人は、意外に思うかもしれません。

脳に対する一般的なイメージといえば「脳は成人するまでに完成し、あとは衰退するだけ」というものだからです。

 

中年脳がうまく機能したことを証明する興味深いエピソードは2009年に起こったハドソン川の奇跡と呼ばれる航空機事故です。この航空機のパイロットは中年だったそうですが、両エンジンともに停止した飛行機をハドソン川に着水させることにより、一名の死者も出しませんでした。

本件では、パイロットだけでなく、乗務員も救命ボートで駆けつけた船長たちも中年。航空安全の調査員は、全員無事だったことの理由として乗務員が全員中年だったからとの結論を出し「経験がものを言ったから」であるとしたとのこと。

中年は若い人に比べて記憶力や瞬発力は劣るものの、全体像をつかみ、これまでの経験から状況をパターン化するのが上手になります。その他の好ましい変化として、年をとると日常で起こった悪いことをあまり気にしなくなることも挙げられています。

やっかいなことがひとつ起こっただけでその日全体を悪い日だったと感じるようになる若い人と比べると穏やかな気持ちで過ごすことができるようになるといえるでしょう。

それでは、みな中年は優秀なのでしょうか。結論は否。

本書では、老後の質を決定づけるのは中年をどう鍛錬するかにかかっており、よりよい老年を送ることは人生100年時代のわたしたちにとっては重要な課題だといいます。

健康で豊かな老年を送るカギは「教育」「環境」「生活の仕方」です。

ある研究によると、長い期間教育を受けた人ほど脳の大きな部分を使いこなすことができるので認知症やアルツハイマーの予防にも役立っているといいます。実際には脳の状態が悪くても、教育レベルの高い人はそれをカバーする働きを脳の他の部分が行っており、症状が出るのを遅らせることができるからとのこと。

症状が出る頃には機能的にはかなりダメージの進んだ状態なので、表に出ると悪化が早く、亡くなるのも早いというのが実情のようです。著者によれば、これは世界中で同じ傾向で教育は人種や収入の影響を消すほど大きなものだとか。

この点については、ニワトリが先か卵が先かの問題ではないか、と感じる人もいるかもしれません。教育を受けることは欲望を抑えるトレーニングでもあるということが一つの回答になるでしょう。

教育によって得られるのは知識だけではないからです。甘いお菓子やタバコに手を出す代わりに散歩に行く生活習慣を身につけることも副次的な効果だといわれています。

脳の健康にとっては、人付き合いもかなり重要な要素となります。実は、人付き合いは脳にとってかなり刺激的な活動です。名前と顔を関連付け、個々の経歴を覚え、必要に応じて引っ張り出してくる作業が必要な、実は脳にとって負担のかかる作業なんですね。

人付き合いといっても、同じ人とだけ付き合っていてはマンネリ化してしまうので、意識的に出会いの場に出かけることも必要かもしれません。本の中ではその他、散歩や読書などの活動も脳の刺激となる好ましい活動として紹介されています。

肥満や高血圧、高コレステロールの状態を避けることも脳の衰退を遅らせる有効な方法です。健康志向の高まりでわたしたちは何を食べるかに意識が向きがちですが、それと同じくらい何を食べるべきでないかを意識することも大切なことなのです。。

この本を読むと脳の機能は大人になってからも高めることができ、行動が違いを生むということが分かります。

「人生を通じて脳に挑戦を受けさせる行動」を続けることで、年をとることを肯定的にとらえられるようになるでしょう。

結果、健康で豊かな老年を迎えられるようになります。少子高齢化にあえぐ日本にとって明るい話かもしれません。

 

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