【読書メモ】水やりはいつも深夜だけど

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『水やりはいつも深夜だけど』は幼稚園生の子を持つ母親や父親の、日常の心の揺れを描く短編集です。各物語のタイトルにもあるとおり、物語の中には植物が登場します。

 植物を育てるには水やりが必要だけど、日中に水やりをする心の余裕はないように見える登場人物ばかり。
どれも日々の生活でありがちな光景を切り取った作品なのに、ありがちなものをどれだけ鮮明にみずみずしく描くかというのが作家の筆力なんだと思う短編集です。
5つある短編の中で、一番いいなと思ったのは最後の「かそけきサンカヨウ」。
家族の形が変わっても、それに抵抗するとか無関心とかではなくて、みんなで暮らしていくんだという前向きな雰囲気が伝わってきたから。逆に、嫌だなと思ったのは「ちらめくポーチュラカ」。
人に嫌われたくないがために有名人の服装やコメントをチェックして、それを参考にしながら日々ママ友と付き合い、ブログの写真用に食事とかインテリアなんかを飾るところが。
とても面倒くさい。
でもわたしも少しは主人公のように人に「嫌われない」努力はしてもいいのかもしれません。
ところでこの短編集は同じ幼稚園に通う子供の親という設定です。5つの物語は完全に独立しているように見えました。せっかく一つのテーマで、微妙なつながりを持たせるのであれば、どこかでつながっていたらもっとおもしろかったかもなしれないと思いました。
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