『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』は2014年の話題の一冊。
積極的に他人から嫌われたいと思う人はいないでしょう。特に日本人は、「嫌われる」ことをひどく恐れる人種だと思うので、このタイトルは衝撃的だったのかもしれません。
わたしにとっての衝撃ポイントは少し違うところにありました。
すべての悩みは対人関係の悩み
たしかに。って思った。
なぜあの人といるとイライラするのか、イライラしない方法はないものかと思っていたからです。怒る原因があるから怒ると、普通は思うのだけどアドラーによると、どうも違うようなのです。
怒りたいから怒るのだそう。
怒ることによって、何かをしたいという目的があるからこそ怒る。たとえば、相手に言うことをきかせたいとか、自分の方が優位に立ちたいとか。
怒りをコントロールするとか、我慢するという発想は、対人関係の中で「自分が正しい」という権力争いに足を踏み入れていること。だから「ついカッとなって」というのはありえないことになる。
対人関係の悩みを解決する方法は、自分の課題と他人の課題とを仕分けること。
馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることは出来ないからです。この部分は、人の期待に沿って生きることの不自由さ、本当の自由とは何かということを考えさせてくれました。
仕分けのコツは、その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰かを考えることです。本の中では課題の仕分けができていない例として、親子のシーンが出てきます。
親が「子のためを思って」勉強しなさいと言うのは、他人の課題に介入する自己中心的な発想だといいます。じゃあ、たとえ親子でも人は人、自分は自分と割り切ってクールに生きることがいいと言いたいのかというとそうではないということがこの本を読むと分かります。
これまで、人生を山登りのような線としてとらえていたわたしにとってはちょっと驚きと気づきがありました。
「まだ本気出してない」的な発想をしている人にはオススメの本です。