上野千鶴子の『また身の下相談にお答えします』を読みました

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身の「上」相談ではなく「下」というタイトルが気になって、手に取ったこの本。

この本は、朝日新聞の「悩みのるつぼ」欄が書籍化されたもの。「夫がイヤ」「子無し人生へのバッシング」「老後どう生きるか」などの相談テーマに対して、著者が一刀両断します。

私は新聞の人生相談を読んだことはほとんどなく、そもそも他人の悩みにあまり関心を持っていないのですが、フェミニストとして知られる著名な社会学者である上野千鶴子がどう回答するかに興味がありました。

人生相談といえばまずは相手に共感し、あまり解決にならないようなことを述べて終了というイメージがありましたが、この本で展開されている回答はちょっと違います。

「あとがき」に著者が書いているように、普通は人生の酸いも甘いも知った人生経験が豊富な人が回答するケースが多いのかもしれません。が、上野氏は戸籍がきれいなおひとりさま。

それでも、社会学者である上野氏には豊富なデータがあるので、その悩みが一般的なものなのか、レアケースなのかの判断ができるのです。

実際どんな回答をしているかは本書に譲りますが、すごいなと思ったのは、相談の文面を本当によく読んでいるということ。年齢や家族構成、文章表現の一つ一つをとらえて、質問者の置かれた状況を想像して回答しています。

私だったら、多分、見逃すであろう文言から、相談者の知的レベルまで推測している。

人生相談というものは、相談者は回答者のことには興味がないにもかかわらず、実際には多くの回答者が「私の場合は・・・」と答えるケースが多いものです。

上野氏は、その点をわきまえて客観的な回答をしているのですが、それでも回答には、回答者の人生観や価値観は色濃く反映されています。

相手に配慮すべき点は配慮しつつも、語り口は非常に明快で、変にこびを売らない感じがいいですね。

つまらない相談をどう料理するか、回答芸も光っています。

掲載先の朝日新聞のコラム「悩みのるつぼ」のネーミングについても、「ふざけている」と一刀両断。何回も読みながらクスクス笑ってしまいました。

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